新小海分院診療情報システムのご紹介(平成17年9月)

         小海分院システム管理責任者 井出和彦





【始めに】
旧小海日赤病院は平成15年4月に佐久総合病院に移管され、翌年から新分院建築工事がスタートしました。約一年後の7月に無事に新分院開院を迎え、地元5ケ町村の多大なご支援を得て、最新の医療機器や療養環境の整った素晴らしい南部地域中核病院が誕生しました。コンピュータシステムでは駅診療所との病診連携も考慮して、全国でも最先端の電子カルテシステムや画像ファイリングシステムが導入されましたので今回その一部を紹介させて頂きます。

1.導入経過
平成14年8〜9月に電子カルテや画像ファイリングシステムのデモンストレーションを計6社行いました。何度も仕様についてのやり取りや検討会議を重ね、メーカ決定に至ったのは10月になりました。いろいろ検討した結果、本院ですでにオーダリングシステムを導入しており予算や担当職員の意見を考慮していただき本院と同じメーカに決定しました。

2.構築
電子カルテ導入にあたっては物の流れ、人の流れが異なるので業務の変更が必要で職員の意識改革も必要でした。構築経過は本年3〜5月にマスター作成・運用決定、4〜6月にシステム調整・検証、5〜6月に操作訓練、7月に本稼働という短い期間の開発でした。短期間で構築できたのはこの電子カルテシステムがワンストップソリューションというノンカスタマイズのシステムだったことが大きかったように思います。しかし、その反面システム的には完成されたものが要求されました。それから膨大なマスター設定が第一の難関でしたが一部本院オーダリングのマスターを参考にしたり、本院マスター設定経験者にお手伝いいただき何とか峠を越せました。

3.トレーニング
旧分院2階の会議室はパソコンが数十台設置され配線などで足の踏み場も無いほどでした。半分はメーカSE開発用、半分は分院職員の教育用に所狭しと設置され、分院に関わる職員全員に操作トレーニングが始まったのは5月の連休明けからです。特に看護師からは全然わからないという声も多く聞かれ、こんな状態で7月の開院が間に合うのだろうかと一番不安な時期でした。しかし、これも本院でのオーダリング経験職員に活躍していただき教育リーダとなってマニアル作りなどをしていただきました。

4.オープン
平成15年7月のオープン前日に、引っ越という一大事業が待っていました。物の配置や入院患者の移動など考えれば考えるほど大変でした。さらに新分院オープンと同時に初めての電子カルテを稼働させなくてはなりません。引っ越しも職員全員が協力して大きなトラブルもなく無事に済ませることができました。そして、開院後も毎日実務の中で運用確認や電子カルテ操作を学習しながらの毎日でした。オープン当初から新病院を期待されて大勢の患者様が来院されたが、待ち時間がとても長くなり大変ご迷惑をおかけしました。

  
           内視鏡検査室                検査システムと分析機
5.現在
職員全員が新分院にも電子カルテにも慣れてきたようです。システム的にも運用が確定してきて、ほぼシステム全体を理解して動き出しました。しかし電子カルテ=ペーパーレスと言われていますが業務の効率化や患者サービスを考えるとペーパーレスにならず、電子カルテと共存させてこそスムーズな運用につながる場合もあります。患者様の待ち時間も会計待ち、薬待ちは著明に短くなり、診察の待ち時間も診察予約が浸透して解決してきました。看護師の事務作業は確実に少なくなり、まさしく電子カルテの恩恵に預かっています。病棟の看護支援システムは入力が大変ですが入力してしまえば全職員が情報を共有できるメリットがあり二重入力は発生しません。反面システム連携で検査結果などが直接カルテに入ってしまうため、異常値などを発生源でチェックしてDrに連絡しないとチェックもれの恐れもあります。このあたりはメーカに電子カルテでのチェック機能の強化や一覧性のある画面機能を望みます。また、電子カルテは誰が、何時、何処で、何をしたかがすべて記録に残る仕組みになっています。このようなセキュリティーのもとに、カルテやフィルムなど、すべての患者情報が何時でも何処でも読み書きが可能です。一度、電子カルテに慣れてしまえばもう紙カルテには戻れなくなってしまうでしょう。




      電子カルテ&画像サーバ



【小海分院電子カルテシステムの特徴】

・運用確認から非常に短期間での稼働

ワンストップソリューションパッケージの導入でしたが多くの経験と豊富な実績があるソフトです。このパッケージはノンカスタマイズですが年に一度のバージョンアップというサービスを受けることができ、現在不都合なところも翌年改良修正される事もあります。また、導入期間も短縮でイニシャルコストの軽減にも大きく寄与しています。

・看護支援まですべてのフル電子カルテシステムを稼働(県内で最初)

一番コンピュータ入力が大変だと言われる看護支援システムも職員の努力で予定通り稼働させました。操作練習での運用とカルテ画面をいかに連携して覚えるかが大切だと感じます。また、看護支援システムはいろいろな画面からの入力が可能ですが、統一した入力方法をいち早くマニアル化して教育の段階から活用することも大切でした。しかし、一部の入力はベッドサイドで行われていますがほとんどは紙に記載後まとめて入力という方法をとっているため実施時間などの修正にも時間がかかりこれからの課題も多くあります。

・画像ファイリング、技師支援システムを導入したフィルムレスシステムを稼働

最新のJPEG2000という画像形式による高精細、高レスポンス画像ファイリングが導入できました。このレスポンスの良さは電子カルテ系、画像系、インターネット系の3つの分割されたネットワーク構築も大きく寄与しています。そして、Webライクなハイパーリンク機能(画像を文字にリンク可能)を持った高機能レポート(画像読影)システムも見逃せません。また、ほとんどの部署が高解像度専用ディスプレイを使用しないで電子カルテ端末共用の17インチパソコン液晶ディスプレイでの運用を実現しました。患者様といっしょに目の前のディスプレイでCT画像や超音波画像、心電図画像などを見ながら視覚に訴えるプレゼンテーション的な説明も可能になりました。

・DICOM非対応機器の紙報告をスキャーナ入力で画像サーバへ取り込み(国内で最初)

心電図、ホルター心電図、呼吸機能、視力、聴力、ABI、骨密度、眼底写真などDICOM形式画像出力の無い装置の電子カルテへの報告書取り込みをスキャナでの画像取り込みで可能にしました。DICOM対応の高価な機器を購入しなくてもMWM(モダリティー・ワークシート・マネージメント)を利用した電子カルテと直結した画像ファイリングを可能にしました。

・本院専門医によるCT遠隔読影の稼働

本院、放射線科の協力により分院でのCT検査結果の読影が光ケーブルを使って本院読影端末により遠隔読影が可能になりました。今までは、撮影したフィルムや読影結果を一日二便の車搬送で本院とやりとりしていたため読影結果が戻ってくるまでに何日もかかる場合もありました。現在では専門の読影医のレポートを患者様といっしょに見ながら診察可能です。

・駅診療所のオーダリングシステムを稼働

駅診療所の検体検査、薬局処方を分院電子カルテサーバを利用してオーダリングシステムを稼働しました。その結果分院からも診療所通院患者の検体検査結果、処方結果を参照可能になり、駅診療所からはすべての分院カルテ、画像データが参照可能です。また、将来的には南部地区の他の診療所からもカルテ情報が参照可能になるようなシステムも検討中です。


電子カルテ端末の画面紹介です

電子カルテ画面

電子カルテからCTレポート表示

電子カルテからCT画像表示

電子カルテから胃カメラ画像表示

電子カルテから腹部超音波画像表示

電子カルテから心電図画像表示


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